胃がんとピロリ菌

ピロリ菌に感染すると、多くのケースで胃粘膜が炎症を起こし、胃の痛みや不快感、吐き気を伴う慢性胃炎や胃粘膜の組織が減少する萎縮性胃炎へと進行していきます。
この萎縮性胃炎は「前がん状態」とも呼ばれ、胃がん発症のリスクが非常に高い病態です。そして、日本人の胃がんの98%にピロリ菌が関与していることがわかってきました。胃がんの発症を防ぐ意味でも、ピロリ菌の除菌が大いに推奨されます。

胃・十二指腸潰瘍とピロリ菌

ピロリ菌が胃壁に取り付くと、細胞を弱らせてしまう毒素を出し始めます。すると、菌を排除しようとして血液中の白血球やリンパ球が付近に集まります。
両者の戦いが激しくなると、胃の粘膜が炎症を起こして胃炎になったり、胃や十二指腸の粘膜が深くえぐられて消化性潰瘍になったりすると考えられます。

ピロリ菌の検査

当院では、胃にピロリ菌がいるかどうかの検査を行っております。
ピロリ菌の検査には、内視鏡検査(胃カメラ)を伴う方法と、内視鏡検査を伴わない方法があり、それぞれ3つずつ、全部で6つの方法があります。

内視鏡検査を伴う方法

内視鏡で胃の粘膜を少し採取し、下記のいずれかの方法で検査します。

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌がもつウレアーゼという酵素の働きによってつくられるアンモニアの有無を調べます。

組織鏡検法

胃粘膜の組織標本に特殊な染色をし、顕微鏡でピロリ菌がいるかどうかを調べます。

内視鏡検査を伴わない方法

当院では次のいずれかの方法で検査します。

抗体測定法

ピロリ菌に対する抗体が、血液や尿に存在するかどうかを調べる方法です。

糞便中抗原測定法

糞便中にピロリ菌の抗原(細菌毒素や菌体成分)があるかどうかを調べる方法です。

※保険適応でピロリ菌の検査が行えるのは、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎、早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者さんです。

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の除菌には、プロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑える薬)と抗生物質を7日間服用します。プロトンポンプ阻害薬で胃酸の分泌を抑えておいてから、抗生物質でピロリ菌を除菌するのです。
服用終了後から約2ヶ月後以降に、除菌療法の効果を判定します。
この方法による除菌率は、わが国では70~90%と報告されています。
最初の除菌療法でうまくいかなかった場合は、違う薬を使って再度、除菌療法を行うことができます。これにより、さらに90%以上の方で除菌が可能と言われています。
この除菌を行えば、感染期間が長きにわたっており、萎縮性胃炎の進んだ人も発がんリスクを3分の1以下に減らすことが可能です。

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